『デザイナーズ住宅』と呼ばれる(呼んでる)ものの大半が、色遊びだったり、形遊びをしただけのもので、極端に窓を排除したファサードだったり、シンプルに見せることでスタイリッシュに寄せているものが多く感じる。もちろん、そうでない頑張っている住宅もあると思うが、そんな人は自ら『デザイナーズ○○です』とは言わないと思う。住宅におけるデザインって決して、『味付けふりかけ的なエッセンス』じゃないですよ、とは前回書きましたが、設計の主張が突出し過ぎた結果、住み辛かったり、暑い寒いと光熱費が莫大かさんだり、弊害を招いたケースも多々あるのは事実。そこは建築士が弊害を真摯に受け止めて、対応策を計画時において講ずるか、何よりクライアントとの合意形成が大切なのです。仕様制限のない、本来の自由設計である設計事務所と創る建築においては、選択肢が無限に用意されてるがゆえに、夢も膨らむし、求めるイメージが形になってゆく過程は、ある種高揚感というか、ワクワク感を共有することが出来る。そんな時こそ、冷静に受け入れるべきリスクもあり、そのリスク以上の価値を感じるデザインであればGOだし、その中間を選択するのも答えの一つなので、正解はやはりクライアントがちゃんと納得するということが不可欠かなと思う。衣・食・住の中で、『住』に対する経験上の検証が圧倒的に少ないというのも、その原因の一つ。例えば『食』であれば、100円代マックと野菜からこだわったカフェで食べるハンバーガーとの違いは知っているし、エルメスのバッグとエコバックの持つ意味の違いも、言うまでもない。ところが、住宅となると『高断熱な3LDKにしとけば、それが1番正解よ』なんてことは絶対ないのに、そうどこか思っていて、高額な資金を投入するから変に冒険して失敗したくないって感じている人も多く存在する。圧倒的に『住』に対する経験値が少ないがゆえに、イメージを膨らませることが難しく、無難に想像できる方に走ってしまう。高額な資金を投入するからこそ、建築士とイメージを共有して自らの感性と暮らしにマッチした住宅を手に入れて欲しいと願う。要は、家づくりにも色々な選択肢があるっていうことを知ってほしい。建売や規格住宅は8割の人が70点をつければ合格。建築士との家づくりは残りの2割の人が99点を求める住宅です。あなたはどちら派でしょうか。新婚旅行で行ったハワイのホテルのようなテラス。デートで行ったカフェテラスの雰囲気。いろんな『住』の経験値を高めて、その新しい空間体験に驚きや感動があったなら、後者の2割かもしれませんね。
家のフレキシビリテイー
『家を建てよう』『住まいが欲しい』その理由は表面的